縄目象嵌

(なわめぞうがん)

縄目象嵌は線を表現する肉象嵌の派生として存在し、嵌め込む金属である文金(もんがね:紋金とも)をねじって縄目線を作り、それをくぼみに嵌め込む技法です。 撚り線と同じ手法で文金をねじって縄目線を作ります。

まず、均一な深さで溝を彫ります。深さは縄目線の5分の3程度であり、文金をしっかりと受け入れるための基盤となります。次に、“かえり” を倒す作業で、 彫ったときに生じる“かえり”(くぼみの入り口で発生するくぼみの反対方向にできるはみ出た部分)を、彫った溝の方に倒して、入口を狭く覆います。倒す角度は縄目線の細い部分の幅に合わせます。

この工程は、嵌め込む際に金属のを使うと線がつぶれてしまうため、木鏨を使用します。木鏨を使うことで、線が損なわれず、縄目の効果が損なわれません。縄目象嵌は独特な縄目模様が特徴であり、これにより金属工芸品における精巧な美が表現されます。

<参考>

  1. 長野裕 井尾建二『金工の着色技法』理工学社、1998年
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