鎌倉時代の金工

鎌倉時代に入ると、武家文化が発展しそれとともに金工の技術も深みを増してゆきます。武器・武具類を製造するうえで、欠かせない鍛金技術は大きな役割をはたし、なかでも作刀は鍛鉄法の極みといえる。

彫金では、線刻から写実的で立体感のある細工へと変化し、刀装金具、甲冑金工の鎧金具にこの細工がよくみられる。代表的なものに青森・櫛引八幡宮蔵の赤糸威鎧(あかいとおどしよろい)の「籬菊文金具(まがききくもんかなぐ)」や、春日大社蔵の赤糸威鎧の「竹虎文梅鶯文金具」があり、武家文化ならではの無骨で勇壮な重みを感じる。また、この時代さらに鋳造品の和様化が進み定着し、その痕跡が仏具、梵鐘、鋳銅鏡などにみられる。

<参考>

  1. 大滝幹夫『日本の美術 第305号 金工-伝統工芸』至文堂、1991年
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