赤銅

(しゃくどう

赤銅はの合金で、その割合は様々ですが、一般的には金5%に対して銅95%の比率が主流です。この比率を用いた5分差しの赤銅が一般的で、銅を先に溶かし、次に金を加えて均一に混ぜ合わせる工程が行われます。

この赤銅は主に象嵌の素材として使われます。赤銅にも金の含有率によって種類があり、純金との混合が行われず、さらに劣等品には砒素が混入したものもあります。

赤銅は光沢のある紫黒色を持ち、「烏金(うきん)」とも呼ばれ、その渋い色合いから、刀の装具や金具の素材として一般的に使用されました。銅100に対し純金5%の割合の赤銅を「五分差し」と呼び、同様の割合の「三分差し」や「二分差し」も使用されていました。黒色の表面を持ち、煮込み法により光沢のある紫黒色を呈します。この黒色の効果は、金やの象嵌を引き立たせます。

江戸時代を通じて御用金工家として名を馳せた後藤家は刀装具の製作で赤銅を使っており、時には赤茶色を示し、近世と古代の赤銅を区別するためにも、異なる名前で呼ばれることがあります。このような黒色の表面を持つ銅合金は世界的にも注目されています。

<参考>

  1. 會田富康『鋳金・彫金・鍛金』理工学者、1975年
  2. 香取正彦 井尾敏雄 井伏圭介『金工の伝統技法』理工学社、1986年
  3. 大滝幹夫『日本の美術 第305号 金工-伝統工芸』至文堂、1991年
  4. 村上隆『日本の美術 第443号 金工技術』至文堂、2003年
  5. 長谷川栄『日本の美術 第111号 夏雄と勝珉』(P99)至文堂、1975年
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