銅
(どう)
銅(元素記号:Cu)は、金とともに人類が最も古くから利用した金属の一つです。
初期は自然銅が使用されていましたが、やがて鉱石からの抽出が始まり、孔雀石や藍銅鉱などが主な銅鉱石とされました。現在では、黄銅鉱や斑銅鉱などの硫化銅鉱物が主要な銅鉱石です。弥生時代には青銅が使われ、古墳時代には金銅装が装飾品や副葬品として用いられました。七世紀には第一次鉱山開発ブームが起こり、山口県の長登銅山が銅の主要供給源となり、奈良の東大寺大仏の材料にもなったと考えられています。
加工しやすく、延性が高いため、人類にとって重要な金属です。腐食しにくい性質を持ち、表面に形成される酸化銅の皮膜が腐食の進行を防ぎます。このため、古代の遺跡からも銅器が多く発見されています。銅はまた、融点が1083度、比重が8.93といった物理的特性を持ち、加工性の良さから多様な用途に用いられました。
江戸時代には「南蛮絞り」により銅精錬技術が向上し、日本は世界最大の銅産出国となりました。住友家の大阪長堀銅吹所は、当時の世界最大級の銅精錬工場として知られています。銅やその合金は、刀装具や装身具などに広く用いられ、江戸時代の金工技術は非常に高い水準に達していました。