青銅

(せいどう)

青銅はと錫の合金であり、別名唐金(からかね)またはブロンズとも呼ばれます。その色は暗褐色で、自然に変色します。青銅は工芸品として幅広く加工され、仏像や銅像、梵鐘から貨幣まで様々な分野で使用されています。銅の産出が豊富で、容易に溶けるという特性が青銅の広範な使用を可能にしています。

工芸で用いられる一般的な合金の割合は銅1000に錫80、亜鉛30、白味(砒素)18です。銅に錫を合金することで質が硬化し、この特性を利用して鋳造以外の応用もあります。ただし砒素は、現在ではほとんど用いられていません。硬化性を利用するものとして、鳴り物に関するもの、すなわち鐘、磬(きん)、鈴などは、昔から銅1000+錫100+10+1の割合が優れているといわれていました。

歴史的に重要な銅合金であり、鉛、錫、亜鉛を含むこともあります。錫の割合が増えるにつれて色が変化し、赤色から淡黄色、白色、最終的には純白色に至ります。鉛は流動性を増し、亜鉛は合金の性質改良に役立ちます。古代の青銅には、鉛以外にも砒素や微量なアンチモン、銀などが含まれる場合もあります。錫の含有量が増えると金色に近い色を呈し、金の代用としても使用されました。

また、硬度が高く、加工しやすいため、古代から銅鏡や銅鐸、武器など様々な製品が作られました。現代でも伝統的な技術を生かした青銅製品が多くの分野で需要があります。歴史的に見ても青銅は金属の主流の一つでありました。飛鳥・奈良時代の「和同開珎」をはじめとする銭貨などの小物類から大型の仏像や梵鐘に至るまで、数多くの青銅品が残されています。

<参考>

  1. 會田富康『鋳金・彫金・鍛金』理工学者、1975年
  2. 香取正彦 井尾敏雄 井伏圭介『金工の伝統技法』理工学社、1986年
  3. 大滝幹夫『日本の美術 第305号 金工-伝統工芸』至文堂、1991年
  4. 村上隆『日本の美術 第443号 金工技術』至文堂、2003年
  5. 増本健『金属なんでも小事典』(P89)株式会社講談社、1997年
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