真鍮・黄銅
(しんちゅう、おうどう)
真鍮は銅と亜鉛の合金であり、時にわずかな量の鉛が加えられます。古くから日本に渡来しており、「法隆寺縁起流記資材帳」にその記録が残っています。江戸時代初期には、人為的な合金として日本に輸入されました。現代の真鍮は、銅100に亜鉛25〜35%を合金したものが多く、鉛を混入することは稀です。
黄銅は通常、真鍮と呼ばれます。歴史は古いものの、日本では近世になってから作られるようになりました。銅鉱石から亜鉛を精錬することが可能となったのは15世紀初めとされ、例えば正倉院宝物にも銅に亜鉛を含んだ「鍮石(ちゅうじゃく)」が存在します。黄銅製の製品は近世になって増え、江戸時代には銅鋳物の主流となりました。現代の工業的に生産されている黄銅は亜鉛30〜40%を含むものが主流ですが、近世には10〜20%程度のものもありました。一般的に亜鉛の含有量により硬さや色が変わり、特に30%程度では金色に近い色を呈します。ちなみに現在の5円硬貨は黄銅製です。亜鉛20%以下の黄銅に少量の鉛を加えると、金に似た色になり伸びやすく、装飾品や楽器などに使用されます。