響銅、砂張、佐波理

(さはり)

響銅はと錫との合金で、錫の割合を銅100に対して15から25の範囲で調合した「音の美しい合金」です。この特別な合金は、最初に作られたときはやや赤みを帯びた色を持ちますが、2から3回の練り直しを経ると白色に変化し、非常に硬い特性を備えます。響銅の最も特徴的な点は、美しい音を生み出すことです。音楽楽器や鳴物の制作において音質と品質の向上に寄与し、日本の伝統的な工芸品において重要な役割を果たしています。

銅に錫、などを組み合わせて作られますが砂張の具体的な成分は異なる場合もあり、例えば、石川県の魚住安太郎氏によれば、銅鑼には銅100匁に錫26匁の合金が使われることが述べられています。

約20%の錫を含む青銅合金の基本構成ですが、近年の調査と研究によって、正倉院や法隆寺にある7世紀から8世紀にかけて作られた銅製容器に、この合金が使用されていることが明らかになりました。特に薄手の鋺、皿、匙などに佐波理合金が用いられています。この合金は、もともと朝鮮半島で騎馬民族の食器として製作されたものと考えられています。

<参考>

  1. 香取正彦 井尾敏雄 井伏圭介『金工の伝統技法』理工学社、1986年
  2. 大滝幹夫『日本の美術 第305号 金工-伝統工芸』至文堂、1991年
  3. 村上隆『日本の美術 第443号 金工技術』至文堂、2003年
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